マトリックス は、「普通」ということは「素晴らしい」の反面教師だと信じています。 それゆえに、当社が2012年に発売したローイングマシンを見直し、それが単によい製品に過ぎないものとわかると、比類なきローイング体験を生み出すことを目標に掲げて作業に着手しました。 当社がオリジナルの固定式ローイングマシンを発売してから約20年の間に、ローイングが進化を遂げ、マルチモダリティサーキット、ヘルスクラブのカーディオフロア、ローイング専門クラス、エリートアスリート向けのトレーニング施設へと活躍の場を広げたことは知っていました。 一切の妥協なくこうしたすべてのさまざまなアクティビティに利用できるローイングマシンの作成は、工業デザイナー、エンジニア、製品スペシャリストの混成設計チームにかかっていました。
まず、現在のローイングをさまざまな側面から体験することから開始しました。利用者と関わり、クラブオーナーにインタビューし、インストラクターと連携し、さまざまな施設のインドアローイングを見学しました。 製品スペシャリストの1人は、ローイングインストラクターの資格も取得しました。 設計チームはすぐに、ファンを使った負荷によるローイングマシン群を一斉に動かすと騒音が非常に大きくなることに気がつきました。 照明を暗くしたクラス環境で他にはないエクササイズ体験を提供するものの、コンソールを見るのを難しくもしていました。 マルチモダリティサーキットでは、ほとんどのローイングマシンが、高速運動と高強度の運動を行う利用者が絶え間なく利用するのに十分に頑丈でもスマートでもないようでした。 一般的なカーディオフロアでは、体の大きな利用者が完全に足を延ばすことや、快適なグリップのハンドルを見つけることに苦労していました。 現地の大学を訪れて、大学生アスリートのトレーニングニーズを理解し、本物のローイングに近い感覚を得るために、彼らが使う水槽にも入りました。 設計チームがローイング体験を完全に理解すると、非常に特別なものが具現化しはじめました。
設計チームはフレームを再設計することから開始し、断固として僅かな手間も惜しみませんでした。フレームは、完全にスチール製でなければなりませんでした。 高品質で頑丈なスチールの基礎だけが、振動を低減し、体の大きい利用者にも適合し、マルチモダリティサーキットの強度と真剣なアスリートのトレーニングに絶えることができます。 次に、設計チームは、騒音の大きなファンを使った負荷システムや、漏れやすく調節の効かない水圧負荷システムのアイデアを放棄しました。 代わりに、静音で耐久性に優れ、瞬時かつ簡単に負荷の上げ下げを精密に調節できる最先端の磁気負荷システムを用いた、つや消しアルミニウムフライホイールを開発しました。 ファンをなくすことで、ローイングマシンの性能を損なうことなく設置面積を小さくできました。また、縦置き収納ができるので、サーキットやカーディオフロアで簡単に配置換えできます。 利用者とマシンの間で最も重要なインターフェースであろうシートについては、当社の工業デザイナーが数え切れないほど多くのスケッチ、レンダリング、素材を試しました。 ほどなくして、乗り降りがスムーズで安定した、さまざまな体格の人に合う理想的な人間工学的形状とシートの高さを突き止めました。
この時間と労力を費やした始まりから、設計チームは、当社のローイングマシンを使うのが楽しくなるよう、すべてのディテールについて熟考を重ねて改善していきました。 コンソールは、クラブやスタジオはローイングマシンをどこにでも設置できるよう、小型バックアップ電池以外は電源内蔵式でなければならなりません。また、照明が暗いクラス環境でも見やすいよう、チームはバックライト付きディスプレイを追加しました。 スプリントトレーニング、長距離ローイングトレーニング、高強度インターバルトレーニングに素早くアクセスできる、プログラム用ショートカットキーのある直感的なシステムも作りました。 当社の工業デザイナーは、何種類ものハンドルのデザインを何度も試して、完璧な組み合わせを突き止めました。 十分な幅があり、すべての体格の利用者が快適に掴むことが可能で、十分な強度があり、激しい使用に耐えながらも十分に軽いため、高強度のトレーニングセッションでハンドルが跳ね返っても、ローイングマシンのコンソールを破損することはありません。 このすべてにおいて合格点を取った上に、この新しいハンドルにオリジナルのローイングマシンとの後方互換性を持たせることで、期待を上回る結果となりました。 磁気負荷システムの場合、15段階の負荷設定から開始しました。製品スペシャリストが検分したところ、いくつかの低いレベルで流動的で一貫した感覚がみられず、いくつかの高いレベルでは腰に負担がかかりすぎることがわかったので、10段階のみに絞り込みました。 最も些少なことのようにみえるかもしれませんが、当社のチームは負荷選択ノブの形状も改善し、運動中に調節できるよう読みやすい数字を追加しました。 ヒールカップに対しても格別の配慮を払いました。よりスマートなストラップを開発し、マルチモダリティサーキットでスムーズに乗り降りできるよう色分けしました。 それでもなお、設計チームはそこで作業をやめませんでした。シュラウドを再設計して、整備時にアクセスしやすくしました。アルミニウムモノレールにステンレススチールストリップを追加して、掃除がしやすく耐久性にも配慮しました。すべての輪郭を見直し、新しい利用者には親しみやすく、ベテランのローイングマシンユーザーにはプロ仕様に見えるようになるまで改良を加えました。
この洗練された新しいデザインが完成に近づくと、設計チームはローイングマシンを試すためにユニークな診断マシンを開発して、期待のさらに上をいきました。 ローイングマシンは単に「ちょうどいい」と思われる以上のことをできなくてはならず、エンジニアはインドアローイングの以前わかりづらかった面を数値化する新しい方法を見つけました。 すべてのスムーズで流れるような静かな動きに満足すると、設計チームは完成品をじっくりと確認しました。 彼らは、カーディオフロアー、専門クラス、マルチモダリティサーキット、エリートアスリートのトレーニング環境のあらゆるニーズに応えるローイングマシンを作りました。 その中で最高と思われる点は、これから何年も来る日も来る日もこれらのさまざまなニーズに対応するのに十分な機能性と耐久性を新設計が兼ね備えていることでした。